就職支援の現場から HOPE神田ブログ -コラム-
岡内伸二 「障がい者雇用への挑戦と学び」コラム(連載) –
前回記事 「障がい者雇用への第一歩」(第1回)
特例子会社を作るといっても、どこで、どのように作ったらよいのか、わからないことだらけでしたので、まずは社内事情に詳しい、元人事部部長で障がい者雇用経験もあるSさんに相談しました。その結果、以下のような行動計画が浮かび上がりました。
ハローワークに相談したところ、雇用指導官の方がすぐに相談に乗ってくださり、特例子会社の作り方のノウハウを教えていただきました。また、現在特例子会社を作ろうとしている会社が集まって研修会を行っているので、そこに参加してはどうか?とアドバイスをいただき、うまく運営できている特例子会社を数社ご紹介いただきました。
日程調整の関係で、一番最初に訪問した特例子会社は大阪の事業所の社員から紹介された、A社でしたが、施設が立派で、行っていることも、園芸、印刷、データの電子化作業、メール作業、クリーニング作業等々、すべての設備が素晴らしく、補助員も豊富で、とてもうちにはできない…と、打ちひしがれて帰ってきました。
次に訪問したのが、同じ大阪のB社で、社内の清掃作業、メールの分配作業、印刷作業等の作業を行っていました。「このような仕事ならうちでもできる」と、少しだけ自信を取り戻すことができました。しかし、それ以上に印象的だったのは、知的障がい者の社員との向き合い方でした。
それは「必要な配慮はするが特別扱いはしない」「働きたいと本気で思っている社員を採用する」ということでした。また、まずは挨拶をしっかりとすること、時間を守ることなどの仕事をする上でのルールをしっかりと身につけてもらうことが大事だと教わりました。この考え方は今の資生堂の障がい者採用にも反映されています。
続いて雇用指導官の紹介で神奈川県のC社を訪問しました。C社では印刷やリーフレット等の封入、メールの仕分け作業などをしていました。作業を見せていただいたことも大変参考になったのですが、それ以上に知的障がい者の社員とのコミュニケーションの取り方、そのための様々なイベントの実施について教えていただきました。
こちらのイベントを参考にして、特例子会社立ち上げ初年度から社員旅行(当時会社としては社員旅行は行わなくなっていたので、「研修旅行」との名目で実施)を行い、その後の会社運営を進める上で、障がい者社員、スタッフともに大きな経験と成果を得ることができました。
岡内 伸二(おかうち しんじ)
三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社 丸ノ内ホテル
管理兼人事部人権・ダイバーシティ推進室 専任マネージャー
大学卒業後、資生堂に入社。広島・東京の販売部門でキャリアを積み、新規事業部や秘書室を経て人事部で人権啓発を担当。資生堂時代から障がい者支援や人権啓発に取り組み、特例子会社「花椿ファクトリー」の設立に携わり、初代社長を務める。その後、丸ノ内ホテルにて人権啓発担当として活動を継続。東京都人権啓発センターの講師や東京人権啓発企業連絡会の啓発委員としても活動し、50回以上の講演実績を持つ。2025年4月より就労移行支援・就労定着支援事業所HOPE神田 企業支援アドバイザーを務める。
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