就職支援の現場から HOPE神田ブログ -就活関連-
発達・知的・精神・身体などの障がいの種別や程度を問わず、障がい者雇用の就職面接では、“配慮事項”を必ず聞かれること、ポイントを押さえた伝え方をすることで選考突破しやすくなることなどを前回のブログでお話させていただきました。
就労移行支援事業所HOPE神田には、自閉スペクトラム症の方(以前は自閉症や広汎性発達障害、アスペルガー症候群などと分類されていました)が多く通所し就職されています。言語に特性をお持ちの方もたくさん通われていますが、ご本人が言いやすい伝え方を一緒に考え、ポイントを絞って繰り返し練習することで、面接できちんと伝えられるようになります。
ただ、質問の内容によっては、どうしてもご本人だけで説明することが難しい場合があります。そのようなときは、私たち支援者がご本人と連携して対応いたします。
大前提として、採用選考の主役は、あくまでご本人です。障がい者雇用の面接などでは、支援者がご本人のサポートのため隣に着席させていただくことはよくあることですが、“お傍に控えている”というイメージで臨みます。支援者が出しゃばってあれこれ発言することは基本的にNGで、ご本人のコミュニケーション状態を確認したい企業側の思惑に反することですし、ご本人とのコミュニケーションには支援者の介入が必要だという誤ったメッセージにもなりかねません。そもそも、選考の後に一緒にはたらくことになるのはご本人と企業ですし、ご本人の尊厳や主体性にも関わることであります。
支援者の座る位置や視線を意図的に変えることもよくあります。面接官の様子やご本人の状態に応じて、支援者の椅子を少し後ろにずらして、ご本人にスポットライトがあたるようしたり、視線を面接官に向けずに、ご本人の身体の方にそれとなく向けたりします。こうして、“お傍に控え”ながら、面接官とご本人との質疑応答やご本人の様子をよく伺い、必要だと判断したとき、または判断されたときにのみ介入するのが、支援者の面接時の基本姿勢だと思います。
障がい者の採用選考に慣れている面接官は、このあたりの支援者の立ち位置を理解されている(というより求めていらっしゃる)ため、質問をするときの視線も発言も基本はご本人に向けられますし、支援者には確認したいことのみ聞く、頼りたいときのみ頼る、というスタンスでいらっしゃると思います。大体の場合、「最後に支援機関の方から何かありますか?」という質問をいただきます。
状況によって良し悪しがあると思いますが、たとえば以下のような場合は面接中に介入することがあります。
・質問の内容が(ご本人にとって)難しいとき、且つご本人が面接官に対して理解に困っていることを伝えられず、面接官も同時に困っているようなとき
・ご本人の受け答えの内容が、明らかに事実と違っているとき。誤った情報が企業に伝わることで、ご本人も企業側も選考に支障が出そうなとき
やはりご本人が主体なので、代わりに発言するというより、ご本人に向けて言葉を変えて質問しなおしたり、ご本人が間違いに気づけるように「〇〇ですか?」と確認の問いかけをしたりします。
お傍で控えると言っても、やはりご本人のアピールはいたします。ご本人にとっても、私たちにとっても大事な面接です。たとえば、前述の「最後に支援機関の方から何かありますか?」という質問は、「何か(私たちが知っておいた方がよい補足事項や訂正事項は)ありますか?」ということに加えて、「何か(ご本人のことで支援者からアピールしたいことは)ありますか?」ということでもあると、勝手ながら捉えております。
事業所での取り組みのご様子や、ご本人の強みや長所、訓練成果の他に、採用後の定着支援体制や事業所の支援実績など、極めて短時間ではありますがアピールさせていただきます。
採用面接時の支援者の立ち位置としては、他にもいろいろな方法や考え方があると思います。あくまで一例としてご参考にいただければ幸いです。
とある企業の採用ご担当者との話で、「採用面接では、ご本人だけでなく支援者も見させていただいている」と伺って、その通りだと感じました。面接に同行させていただく度に意識します。佇まいや言葉遣い、ご本人への理解、支援方針や支援姿勢、、、私たちの存在がご本人の強力なアピールポイントとなるように常に努めていきたいと考えております。
ご利用者と支援者の考えが異なったとき
配慮事項の伝え方
ご本人はもちろん、ご家族・関係機関の方の相談や見学も承っています。個別に丁寧に対応させていただきます。
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