
岡内伸二 「知的障がいがある方を採用する企業側の視点②」コラム –
「できない」ではなく「できる方法」を考える
親御さんが心配されるのは、「うちの子はこれができない」という点だと思います。
しかし、企業が知的障がいのある方を雇用する際には、もともと「配慮やサポートを前提とした働き方」を想定しています。
・作業を細かく区切って任せる
・何度も繰り返して覚えられるように支援する
・困った時に相談できる支援担当者をつける
このような工夫をしたうえで、「この仕事なら安心して任せられる」「ここなら落ち着いて続けられそうだ」という形を、企業も一緒に探しています。
実際に花椿ファクトリーの工場部門では、ライン作業(ベルトコンベアーで流れてくる化粧品へのシール貼りや箱詰めなど)を行っていました。
箱詰め作業では、本数を数えることが苦手な社員のために、支援担当者が「10本入ったらいっぱいになる容器」を作ってくれました。この容器のおかげで、数を数えることが苦手でも、本数を間違えることはありませんでした。
このほかにも、担当者がさまざまな工夫を重ね、障がいのある方の苦手な部分を補う方法を考えてくれていました。
私は、知的障がいに限らず、あらゆる障がいのある社員に対して、「障がいがあるから、この作業はできない」と決めつけるのではなく、「障がいがあっても、このような工夫をすればできるようになる」という視点で、みんなが一緒に考え、工夫することが大切だと思っています。
それによって、障がいのある社員も、一緒に働く社員も、お互いに成長することにつながると感じています。
「できること探し」を一緒に
親御さんにお願いしたいのは、お子さんに対して「できないこと探し」をするのではなく、「この子は、どんな環境なら安心して仕事が続けられそうか」という視点で、お子さんと会社の両方を見ていただきたいということです。
そうすれば、お互いがWin-Winの関係になれるのではないでしょうか。
ぜひ一緒に、「できること探し」を始めましょう。

岡内 伸二(おかうち しんじ)
三菱地所ホテルズ&リゾーツ株式会社 丸ノ内ホテル
管理兼人事部人権・ダイバーシティ推進室 専任マネージャー
大学卒業後、資生堂に入社。広島・東京の販売部門でキャリアを積み、新規事業部や秘書室を経て人事部で人権啓発を担当。資生堂時代から障がい者支援や人権啓発に取り組み、特例子会社「花椿ファクトリー」の設立に携わり、初代社長を務める。その後、丸ノ内ホテルにて人権啓発担当として活動を継続。東京都人権啓発センターの講師や東京人権啓発企業連絡会の啓発委員としても活動し、50回以上の講演実績を持つ。2025年4月より就労移行支援・就労定着支援事業所HOPE神田 企業支援アドバイザーを務める。
